鍼灸大航海時代 第14回 〜鍼灸職の未来〜 伊藤 学

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2013年にマイケル・A・オズボーン博士が発表した論文「未来の雇用」が一時期日本でも話題になりました。

これまで人間が行ってきた仕事が今後ロボットなどの機械に代わられる可能性を数値として表した論文です。

前回の連載で「精密機器の進化と経穴の存在」について書きましたが、我々の業界も例外ではなくコンピューター化の影響を少なからず受けることになるでしょう。

この論文にはコンピューター化される可能性の低い職種から高い職種までをランキング(1位~702位)にした表が掲載されています。

1位と最下位、それと鍼灸に近い職種のランキングを紹介させて頂きます。

鍼灸は恐らく「健康関連の技術職(その他)」に含まれているものと思われます。

 

1位 0.28% リクリエーショナルセラピスト(RT)
6位 0.35% 作業療法士(OT)
90位 2.1% 理学療法士(PT)
100位 2.7% カイロプラクター
142位 5.5% 健康関連の技術職(その他)
311位 54% マッサージセラピスト
702位 99% テレマーケター

 

1位のリクリエーショナルセラピストは日本ではあまり馴染みのない職種ですが、絵画や工芸、動物、スポーツやゲーム、音楽や踊りなど、治療効果のある活動を障害や病気を持つ患者に施す療法士を指すようです。

このランキングを見る限りでは運動機能の回復を主な目的とした職種よりも、複合的な機能回復を目的としたRT、OTなどの職種の方がコンピューター化の影響を受けにくいようです。

同論文には医師の診断が既にコンピューター化されてきていることにも触れています。

東洋医学は経験医学とも言われますが、膨大な経験をデータ化することができれば望聞問切の四診の内、問診に関してはかなり制度の高い診断がコンピューター化により可能になりそうです。

画像解析や感知技術の目覚しい進化をみていると、望診・聞診もある程度コンピューター化が可能と思われます。

また、前回書きましたが精密機器の進化により経穴の特殊構造が続々と明らかになってきています。

ポータブル機器を用いれば、手を用いなくても的確な切診ができるようになるかもしれません。

整形外科医でエコーを用いて治療点を判断されている先生もいらっしゃるようですね。

100位のカイロプラクターや311位のマッサージセラピストにも同じことが言えると思うのですが、同じ職種であってもコンピューター化されやすい方とそうでない方が存在するような気がします。

どういう鍼灸師がコンピューター化されやすいのか、考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

伊藤 学(いとう まなぶ)

1977年生まれ。1994年にカナダに渡り、高校・大学を卒業後、2001年に帰国。外資系IT企業を経て、湘南医療福祉専門学校に入学。在学中より川崎中央はりきゅう院にて修行を積む。2010年にSteiner Training Ltd.と契約し客船の鍼師として勤務。7カ月の契約を終え帰国。現在は主にメディカルスパみなとみらい勤務。自身のブログでも海外の鍼灸情報を発信している。

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