鍼灸大航海時代 第10回 〜耳ツボ(鍼)にみる鍼の発展過程〜 伊藤 学

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日本で耳ツボ(鍼)というとダイエットや美容のイメージが強いようですが、北米では疼痛緩和をはじめ、依存症や精神疾患などにも頻繁に応用されている、わりと一般的な療法です。

乗船前にLAで研修を受けるのですが、ここでも船酔いや依存症のための耳鍼療法が紹介されます。

クルーズはリピーターも多く、出発前に必ず船酔い予防の鍼を受けに来るという方もいらっしゃいました。

また、クルーズ中に依存症を克服したいという方もいらっしゃいました。

第8回でも書きましたが、船上は特殊な環境のため、今までの自己と決別するには適した環境と言えます。

日本では依存症に対する施術などしたこともありませんでしたし、たかが数時間の研修で教わった耳鍼で対応できるのか不安でしたが、これがなかなかの効果を発揮します。

ただ、下船後にその状態を維持できるのかは疑問です。

「Battle Field Acupuncture」という言葉を聞いた事はありますか?

直訳すると「戦場の鍼」ですね。

これはアメリカ空軍で採用されている耳鍼療法の一種です。

耳鍼は装備を付けたままでもできるため、実際の戦地でも行われているようです。

また、戦地から戻った兵士の戦争後遺症に対する治療にも使われているそうです。

このように同じ耳ツボ(鍼)でも、環境の違いによって独自のカラーが生まれてきます。

進化の過程を見ているようで面白いですね。

日本鍼灸にも他の国とは違った独特のカラーがあると思いますが、それを一言でまとめるのは非常に難しいと感じています。

未熟者でも一応鍼灸師である自分が分からないのだから、一般の方々にはもっと分かりにくいのでしょう。

そもそも一言でまとめる意義があるのかも分からないのですが、引き続き答えを探し求めて大海をさまよってみたいと思います。

 

伊藤 学(いとう まなぶ)

1977年生まれ。1994年にカナダに渡り、高校・大学を卒業後、2001年に帰国。外資系IT企業を経て、湘南医療福祉専門学校に入学。在学中より川崎中央はりきゅう院にて修行を積む。2010年にSteiner Training Ltd.と契約し客船の鍼師として勤務。7カ月の契約を終え帰国。現在は主にメディカルスパみなとみらい勤務。自身のブログでも海外の鍼灸情報を発信している。

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