目からウロコの物理学的経絡治療 第10回 「動きの中で経絡の“伸び縮”をイメージする」 岡西裕幸

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前回は「書籍の記述を立体的にイメージしながら患者様を診る」と題して世界地図を例に挙げ説明しました。

世界地図のような平面図では分かり辛い地球上にある国々の位置関係や大きさ、距離は「地球儀」を目の前にした瞬間「ああ!こういう風になっているんだ」と理解できます。

経絡・経穴図でも同じことが言えます。

書籍で学んだだけでは正確な経穴位置を把握し辛く、頭では「わかっているつもり」でもそれは「平面の経絡・経穴図」として認識されていることが多く、立体的に「頭に落とし込んでいない」と思う場面に多く遭遇します。

せっかく学んだ「経絡図」を立体的に患者様に当てはめてみましょうというお話をさせて頂きました。

東京や大阪、名古屋に行った際、同業の先生とお話する機会が多いのですが、仕事が順調な先生の共通点があります。

それは学ぶ際「アウトプット」を意識して「インプット」をしているということ。

経絡・経穴図も同じだと考えます。

それで今回は「動きの中での経絡の“伸び縮”をイメージする」というお話です。

立体的にイメージ出来たところで今回大事になってくるのは「動き」の中での経絡の状態をイメージするという事です。

私が平成5年3月〜平成8年9月まで勤務していたスポーツクリニックでは、リハビリテーション室にて必ず患者様を評価します。

大きく分けると「静止時」での身体評価と「動作時」での身体評価。

静止時での評価で絞りきれないとき動作時にて問題点が見つかることが多い。

この評価が現在「四診」や「施術」に活かされています。

人間は平面ではなく「立体」であり、ずっと静止状態を保っているわけではなく「動き」ます。

動きの中で「怪我」もします。

しかし、安静時に評価する事で動きの中でのリスクを見つけて「改善に導く」という事もできます。

鍼灸医学に置き換えると動きの中での経絡の“伸び縮”は重要な診察の参考になると考えますし、そのために安静時に経絡の位置関係が立体的にイメージ出来れば「四診」の参考になるばかりではなく、「施術」がしやすくなります。

どの動作の時にどの経絡が伸ばされて、どの経絡が縮むか。どの動作の時に隣り合う経絡と距離が長く(離れる)なるか。どの動作の時に隣り合う経絡と距離が短く(近く)なるか。

 

以下に例を上げます。

例1)

朝、顔を洗って体を起こそうとした瞬間に腰に激痛が走ったとします。

まずどの筋肉や関節、神経に影響を及ぼしたか!という発生機転を考えると同時に「体が前かがみにした時どの経絡が伸ばされてその時どの経絡が縮んでいるか、体を起こすときどの経絡が急激に縮んだか」をイメージし施術録に書き加えると「施術方針」が組み立てやすくなる。

例2)

野球の投手がフォロースルーの際に肩関節に痛みが走った。

例1)同様、どの筋肉や関節、神経に影響を及ぼしたか!という発生機転を考えると同時に「フォロースルーの際、関節窩から上腕骨頭が離れすぎないようにどの経絡が急激な伸長に対して伸長しすぎないように制御して経絡の適正な長さに保とうとしていたのか」をイメージし施術録に書き加えると「施術方針」が組み立てやすくなる。

 

全てではないのですが、多くの場合人間は動作時に問題が生じやすく、その問題が発生した要因が把握できないまま「時間的自然治癒」により「症状緩和」したとしても患者様の行動パターンは変わることは少なく「再発」を繰り返してしまいます。

動きの中での経絡の“伸び縮”がイメージ出来るようになると「それに対しての施術方針」を立てることができ、症状の再発防止につながると考えます。

 

岡西 裕幸

大学堂 院長
鍼灸学士・鍼灸師
世界中医薬学会連合会登録2010
(社)全日本鍼灸学会会員
(社)日本東洋医学会会員
日本中医学会会員
平成2年鍼灸師取得
(現)関西医療大学3期卒業
上海中医薬大学附属日本校客員講師
APG代表

大阪や名古屋の治療院で経験を積んだ後、平成5年からJリーグチームドクターのクリニックで勤務し、選手の評価方法やリハビリテーションに関して学ぶ。
西洋医や理学療法士と協働して西洋医学的知識の大切さを知り、物理学的経絡治療を開発。
マタニティケア鍼灸師。
世界中医薬学会連合会(証書番号001817)。

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