鍼灸大航海時代 第9回 〜身体的特徴や健康に対する意識〜 伊藤 学

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カリブ海クルーズの場合、国別でみるとやはりアメリカからの乗船客が大多数を占めます。

ちなみに国別や年齢層別など乗船客の統計情報は、出港前に行われる避難訓練のブリーフィング時に確認することができました。

アメリカは人種のるつぼと言われる多民族国家である上に国土が広く気候も地域によって全く異なるため、日本でみられるような平均的な身体的特徴というものは掴み難いと思います。

平均してみれば身体が大きいのはご想像通りだと思いますが…。

一度、体重200kg近い方がいらっしゃった時はさすがに戸惑いました。

また、筋肉の緊張が強い割に凝りや痛みを訴える方が少ないように感じました。

そして甲状腺、子宮、胆嚢、扁桃腺などの臓器摘出手術や関節の手術を受けている方も多かったように思います。

あくまで私が受けた印象ですが、日本では保存療法の段階と思われるような状態でも、早い段階で積極的に手術を勧める/受け容れる傾向があるのかもしれません。

カルテの既往歴にガンの項目があるのですが、そこにチェックがついており外科的治療・化学療法・放射線療法により現在は完治しているという方も非常に多かったように思います。

恐らくそのような病気や治療を経て東洋医学に興味を持ったという方も多かったのでしょう。

The Natural Marketing Institute(NMI)による2005年のアメリカにおける大規模な市場調査によると、国民の健康に対する意識の二極化が起きているとあり、2014年のNMIによるコメントにもありますが、その傾向は現在もみられるそうです。

日本でもその傾向はあるように思いますが、アメリカではそのふり幅が極端であるように感じます。

船の中でもスタイルの良い男女が朝からジムでトレーニングに励んでいるかと思うと、超肥満体形の方がソフトクリームを食べながらよちよち歩いている光景をよく目にしました。

鍼がアメリカで急速に普及した背景には、この健康に対する意識の高いグループ(Well-Beings*)の増加があるのだと思います。

いつでも自分の好きなものが好きなだけ食べられる客船の中で人間観察をしていると、この縮図をみているかのようで面白いです。

*NMIは国民の健康に対する意識を5つに別けて調査しています(1.Well-Beings 2. Food Actives 3. Magic Bullets 4. Fence-Sitters 5. Eat, Drink, and Be Merry)。

 

伊藤 学(いとう まなぶ)

1977年生まれ。1994年にカナダに渡り、高校・大学を卒業後、2001年に帰国。外資系IT企業を経て、湘南医療福祉専門学校に入学。在学中より川崎中央はりきゅう院にて修行を積む。2010年にSteiner Training Ltd.と契約し客船の鍼師として勤務。7カ月の契約を終え帰国。現在は主にメディカルスパみなとみらい勤務。自身のブログでも海外の鍼灸情報を発信している。

 

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