上石優子先生に学ぶ 医療接遇 第6回 〜所作〜

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私のコラムも早いもので6回目です。

さて、今回は所作についてお伝えいたします。

所作とはどんな意味でしょうか?

行い・振る舞い・身のこなし・しぐさといった意味と言葉辞典には明記されています。

あまり聞きなれない言葉ですが医療接遇でもとても大切です。

折り目正しい所作は立ち居振る舞いをきれいにみせるだけでなく、医療人として患者さまへの信頼感・安心感を深めます。

そして、所作には気持ちが形となって表れているのです。

気持ちが込もっていない表面だけの所作・立ち居振る舞いは中身の無い味気ないものです。

上辺だけ装った所作はかえって不信感を持たれてしまいます。

治療しづらい状況を招いてしまいますね。

心を込めて表現することが大切なのです。

ではどのような所作・立ち居振る舞いをしたら良いのでしょうか?

所作がきれいな人とそうでない人は何が違うのでしょうか。

まず、所作がきれいな人は背筋がスッと伸びていて正対しています。

目線の置き方も何気なく自然で柔らかい視線です。

動作もゆっくりと丁寧です。

そして、何よりも残心があります。残心とは区切りとして間があるかないかという事と捉えてください。

残心とはちょっと難しい表現です。反対から読むと心残り・・・ちょっと引いてしまいますね。

今回のポイントですのでしっかりと意味を捉えてくださいね。

例えば残心がある所作とは、お茶を差し出したあとに手の止めが入り、間をおいて手元を自分にゆっくりと引きよせていく。

お辞儀をしたらいったん止めてゆっくりと状態を起こす。

ドアを閉める時には閉める寸前で間をおき、音をたてないように静かに閉める。

また、電話対応では相手が先に電話を切った後に受話器を直接置かずに指先を静かにおいて切る、などがそれにあたります。

治療の場面ではベッドに横になった患者さまに静かに足元からタオルを掛け、襟もとあたりから更にゆっくりと掛けてさしあげる。音を立てずにゆっくりと扉やカーテンの開閉をする、器具を丁重に操作する。など患者さまに余分な神経をつかわせないように配慮をするのが、残心に当てはまるでしょうか。

要するにゆっくりと丁寧に対応し、相手を思いやる気持ちを残すことです。

患者さまは医療に携わる私たちの一挙手一投足を観察し何かを感じています。

スリッパを引きずるような音やパタパタと忙しない音がしていたら嫌なものです。また、カーテンの開閉音が大きくシャーシャーとしていたら耳触りですよね、器具の操作がぞんざいでカシャカシャと音がしたら不快なものです。

患者さまの立場になって考えてみるとわかりますね。

患者さまは痛みや体の不調からくる不安感から動作が思うようにいきません。

辛い状況にあります。その分五感が鋭くなっています。

患者さまが不愉快にならずに安心して治療を受けてもらえるよう、日々の所作や言動に配慮する必要があります。

所作や立ち居振る舞いを丁寧に行えば、話し口調も自然と動作に合わせたゆっくりとした口調となり、患者さまの神経を穏やかに休めさせることが出来、また、私たち治療をする側の手元の神経にもゆとりが出来て、慎重に対応出来るものです。

言い換えれば、効果的な治療が出来、患者さまには信頼や安心を感じてもらえ、双方にとって満足のゆく治療を行えるようになるのです。

接遇力を高めることで、医療現場において患者さまとの信頼関係を深めることできるのです。

所作・立ち居振る舞いの大切さご理解いただけましたでしょうか。

毎回お伝えしていますが習慣化することが大切です。

付け焼刃は通用しません。日々丁寧で折り目正しい所作を心掛けて実行してください。

医療現場では緊急を要したりする場面もありゆっくり対処できない場面もありますが、柔軟に対応して志気を高めていってください。

 

上石 優子

ヒロ鍼灸整骨院
元日本航空フライトアテンダントという経歴を持ち、退職後6年かけて柔整、鍼灸、あんまマッサージ指圧師の国家資格を取得した異色の存在。
在職中は訓練教官を経て客室マネージャーとして乗務員の教育、マネジメントに従事した。主にファーストクラスを担当し、30年近くの乗務経験の中で政府専用特別便などの乗務経験多数。洗練された中にも人柄があらわれるあたたかみとユーモアあふれるサービスは誰にも真似できないと後輩から親しみと驚きを持って慕われていた。その心からのサービスマインドは歩くカスタマーサティスファクション(CS=顧客満足)と評された伝説のフライトアテンダント。

 

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