第66回 公益社団法人 全日本鍼灸学会学術大会 東京大会 レポート①

シェアボタン

2017年6月10〜11日の2日間にかけて「第66回 公益社団法人 全日本鍼灸学会 学術大会 東京大会」が東京大学本郷キャンパスにて開催され、天候にも恵まれ、初日から大勢の参加者で溢れた。

今大会のテーマは「世界に誇る日本鍼灸 〜「東京宣言」確立のためのプログレス」。

開会式では大会の実行委員長である鳥谷部創治氏から開会宣言が行われたのち、会長である久光正氏により挨拶があり、「2011年第60回大会(日本鍼灸に関する鍼灸東京宣言2011)開催時に東日本大震災により、つくばから急遽東京での開催となったため、規模の縮小や準備の問題などで発信のインパクトが充分とはいえなかった。その東京宣言2011の精神を踏まえ今回はより具体的に日本鍼灸の優れた点について様々な視点からのプログラムを組んだ。是非今大会で新たな知識、技術そして日本鍼灸に対する思いを得ていただきたい」と述べ、東京宣言のプログレス(進歩・進化)の幕が切って落とされた。

本稿では数回に分けて大会の内容をいくつかピックアップして報告する。


(開会式で挨拶をされる久光正氏と実行委員のみなさん)

 

大会会頭公演 東洋医学と西洋医学:どちらの方が本質治療に近いのか ー治すとは何か:東洋医学は決して非科学的治療ではないー

本大会会頭である小川卓良氏(東京衛生学園専門学校 臨床教育専攻科)により、西洋医学と東洋医学の根本的な違いや東洋医学の優位性、またこれからの課題について語られた。


(会頭公演での小川卓良氏)

西洋医学はその医師の学歴の高さや高度な医療設備等、優位点が多々あり、診断や病態把握力は東洋医学の比ではない。しかしその一方で治療面は弱く本質的治療はあまりなく、多くは対症療法であり、しかも副作用が伴う。
例えば風邪の発熱の症状に対して熱を下げる、血圧が高ければ下げる治療を行うといった診断面では病気の原因を追究していく”病因論”が治療面では反対のことをする”アロパチー”がそれぞれのパラダイムとなっている。
ワクチンや予防接種なども人の免疫力全体を亢進させるものでなく、弱い感染を起こし弱い抗体を作るものであるため、効果は不完全でかつ病気を発症させるリスクがある。

一方東洋医学は古典を学問的基盤にしているため、個別性や主観性・全体を診る等の哲学的思考があるので普遍性、客観性などに課題がある。しかし東洋医学は免疫力を高める治療であり、西洋医学に比べ本質的な内容を内在している。

最後に小川氏は、遺伝子工学、iPS、人工知能(AI)の発展により、これから起きるであろう医学・医療の変革、パラダイムシフトに備え、東洋医学も古典を金科玉条するのではなく、西洋医学の良い点と欠点をしっかり把握し、科学技術を最大限に利用しつつ健康維持・増進、スキンシップ、心への作用等の特徴を発展させ、新たなパラダイムを構築していく必要があると述べ、公演を閉めた。

 

ランチョンセミナー1 「マタニティ鍼灸の実際とさらなる可能性」

セイリン株式会社協賛によるランチョンセミナー1は司会に久光正氏(昭和大学副学長)が着き、藤原亜季氏(女性のための健康医療研究グループ 天使のたまご代表)が「マタニティ鍼灸の実際とさらなる可能性」と題し公演を行った。


(ランチョンセミナーで講演される藤原亜季氏)

妊娠中の施術に副作用が見られないと発表されたのはごく最近になってのことで、10年前では妊婦に対する鍼灸治療はタブー視されていたこともあり、実施されている方も少なく、ましてや妊婦専門のクリニックなど存在していなかった。
自らの経験からその必要性を感じ、12年前に妊婦専門クリニックを開業した。

一般鍼灸とマタニティ鍼灸の違いは当然のことながら「妊娠している」ことだが、妊娠によるホルモン分泌による生理的変化や、姿勢などの解剖学的変化によって身体的・精神的変化が起こる。そして限られた期間であること、週数によって特有の症状が現れやすいことからアプローチがしやすい反面、施術における禁忌事項も特に初期においては多くある。
一般に行われる妊婦への鍼灸治療では不足していると思われる精神的に働きかける施術を自身のクリニックで行うケースを例に説明した。

また、マタニティケアから産後ケア、不妊治療とマタニティケアが発展していくに伴い、他職種間や専門家のサポートなど医療機関との連携が欠かせないものとなってきている。自身の湘南鎌倉バースクリニックに併設されたクリニックを例に病院内での勉強会やその活動内容も語った。

最後に近い将来、産院の中マタニティ鍼灸が当たり前のように入り、多くの妊婦さんが気軽に利用できるようになれるよう、企業理念でもある「労わり・繋げる」の精神でスタッフ一同経験を積み推進していきたいと述べセミナーを終えた。

 

(第66回 公益社団法人 全日本鍼灸学会学術大会 東京大会 レポート②へ続く)

シェアボタン