馬場乾竹先生「はりきゅうフェローシップ」レポート

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ようこそ、「はりきゅうフェローシップ」へ

(レポート・聞き手:中西 満美子)

私がある勉強会で一人の先生から声をかけていただき、「せっかくだし一度行ってみようか」と、はりきゅうフェローシップにお邪魔するようになって、3年ほど経ちます。
最初は、会場がカラオケボックスだったり、お酒を飲みながらだったり、普通の「勉強会」とは違う雰囲気に戸惑いながらでした。
でも、お話ししてみると、集まっている先生たちはとても熱心に「鍼灸」を考えている人ばかり。そこで知り合った先生方との交流もでき、今度は私自身が友人の先生たちをお誘いして、何度も参加するようになりました。


▲(講師の馬場乾竹先生)

「はりきゅうフェローシップ」とは、大阪の馬場乾竹(ばんばけんちく)先生が発起人となって始まった、「治療技術と治療院経営」を1:1のバランスで学ぶための場。毎月第4日曜日の夜に開催され、ひと月毎に治療技術系、経営系の内容を交互に勉強しています。
初開催年が2012年、開催回数は52回を数え(2017年4月現在)講師を務めた方の数は20人にのぼります。
このはりきゅうフェローシップの発起人であり主催者でもある、馬場乾竹先生にお話しを伺いました。

Q.はりきゅうフェローシップ開催のきっかけとなったのは、なんだったのでしょうか。

A. はりきゅうフェローシップは、私が代表を務める古典的鍼灸治療技術の研鑽団体「和魂漢才鍼灸」の活動の一部です。
今の時代、鍼灸の資格を取っても生業としてやっていけていない人が沢山います。資格を取って本当にやっていけている人は3%程度といわれいています。
また、鍼灸の受療率も5%程度といわれていて、その中で如何にして鍼灸師として生き残っていくべきなのか?そうしたことを考えた際に、治療技術の研鑽と鍼灸院経営の知識の両輪をしっかりとバランスよく身につけていく必要性を感じました。
東洋思想の陰陽論の考え方でも陰と陽のバランスが重要。そして、そのバランスは、1:1。
こうしたことを考慮して、治療技術と治療院経営を1:1のバランスで学べる場を創りたいと考えるようになりました。
治療技術だけ教えてくれるセミナーや鍼灸院経営だけ教えてくれるセミナーはありますが、それを一つの場所で同じだけの分量教えてくれるところはないと思います。
ですので、そうした場を創り出したいと思ったのが、「はりきゅうフェローシップ」をはじめるきっかけでした。


▲(経営系のお話しを担当される横井早統先生)

Q.なぜ普通のセミナー形式ではなく、飲食しながらの現在のようなスタイルを選ばれたのですか?

A. 先ほどお話したような学びの場を創り出す、その際には今までとは違った形態での学びを提案したいという想いも強くあり、食事をしながら学ぶというラーニングバー形式を鍼灸業界で初めて導入しました。
ラーニングバーとは、組織を超えた「大人のための学びの場」のことで、お酒とお料理があり、講演があり、対話がある、従来の日本になかった学びのスタイルです。
組織の中で一人前になるには学ぶことが必要です。でも、組織に所属すると学ぶ内容はそこから提供された情報に限られます。その中ではどうしても偏った考え方になってしまい、視野が狭くなってしまうことが往々にしてあります。
こうしたことが起こらないように、ラーニングバーでは、その人が学んでいる治療の方法や流派などに関わらず、どんな鍼灸治療を行っていても学びを得て帰っていただけるように提供するコンテンツ、参加していただくメンバーに工夫をこらしています。
そうした中で鍼灸師同士の横の繋がりができ、これからの時代に適応した、活躍できる人材を育成していけると考えています。
また、これからの鍼灸業界を盛り上げていくためには、若年層の鍼灸師に活躍してもらうことが重要です。
食事をしながら学ぶスタイルは、そういう若い方に参加してもらいやすくするための工夫でもあります。
旧式然とした学びの場ではなく、時代に合わせた最新の学びの場の提供。こういったことを考えているのがはりきゅうフェローシップです。そして、こうした主旨に基づき、偏った考え方ではなく多様性を実現するために僕一人の力で始めるのではなく、仲間を募ってスタートしたいと考えました。
これら私の考えに共感してくれた仲間が、鍼灸師の横井早統氏、当時鍼灸学生だった西村哲嗣氏、セイリン株式会社に勤めていた平恵一氏。はりきゅうフェローシップは、この4名でスタートしました。
今となっては新しい運営スタッフにサポートメンバーも変化して、少し疎遠になっている方もいらっしゃいますが、皆さんのお力あっての今ですので、心から感謝しています。

Q.はりきゅうフェローシップを企画運営される上で、馬場先生が心がけておられるのは、どんなことでしょうか。

A. ラーニングバーのコンセプトは「聞く、考える、対話する、気付く」です。
従来型のセミナーなどは、参加者が講師の話を聴くことに徹する「聞く、聞く、聞く、帰る」という形態になっていることが多いと思います。
はりきゅうフェローシップでは、できるだけ講師の先生と事前に打ち合わせをして、イベント当日、学び手の方がただ話を聴くだけではなく、講演の内容について考えていただいたり、参加者同士で話の内容を議論したり、対話したりしながら、自分なりの気付きを持って帰ってもらうことを意識しています。
このあたりもしっかりと行いたいため、講師の先生の意向を最大限に受け入れながら、当日の進行にも工夫を凝らしています。
また、はりきゅうフェローシップに参加してくれる人はフェローシップの名前の通り、仲間だと思っています。
ですので、できるだけ活きた情報を持って帰っていただけるように、講師の方がお話ししたい内容を事前確認した上で、必要に応じて聞き手の立場に立ち、更にこうした情報が欲しいだろうというものを、準備していただいている情報+αのコンテンツとして用意する場合もあります。
こうした情報の鮮度や質は、生業として鍼灸師という仕事を選んでいる方に自治療院ですぐに治療や経営に役立ててもらうため、そして、参加費以上のものを持って帰っていただくために非常に意識していることです。
また、有志のメンバーがボランティアスタッフとして手伝ってくれているのですが、それらのスタッフはすべて若手鍼灸師ですので、彼らがイベントの運営をすることで自分自身の鍼灸人生に役立つように様々なことを指導しています。
たとえば、イベントの開催の仕方、人の集め方、よりよいコンテンツの準備、参加者の方に満足していただくための注意点、人間関係の作り方などなど…。
誰でもいいというわけではないのですが、やる気を持ってスタッフとして参加してくれる方にも、このイベントを通じて成長して欲しいと思っていますので、積極的に仕事を任せながら、様々なアドバイスを送っています。
これらは自分が開業したときにイベントを行ったり、患者さんを集めたり、患者さんに満足していただいたり、鍼灸師として治療技術+αの技術として役立つ内容だと感じています。
現に、ずっと手伝ってきてくれた鍼灸師が昨年開業しましたが、スタートから非常にうまくいっています。
来てくれた人だけでなく、運営側の人間も学び成長する。これもイベントを通じて、提供していきたいと考えていることです。

Q.はりきゅうフェローシップはどんな方でも参加できるのでしょうか。

A. 一つだけ制約がありまして、このイベントに参加できる方は鍼灸に携わっている方のみです。
鍼灸師の方はもちろん、鍼灸の専門学校生、また、鍼灸のメーカーの方のみご参加いただける形にしていて、鍼灸師の方は、当日の学びはもちろん、鍼灸師同士の横の繋がりを深めたり、参加する学生から自分の勉強会に来るメンバーや治療院のスタッフを募ったり、また、メーカーの方から業界の情報やよりよい鍼灸道具のことを知ることができます。
学生は、学生同士で情報交換をしたり、自分がこの先生に学びたいと思う方を見つけたり、将来の雇用先を探したりできますし、自分の使う様々な鍼灸道具のことをより深く知ることができます。
そして、メーカーの方は自分の顧客になり得る鍼灸師や顧客予備軍の学生を見つけることができ、業界内での個と個の繋がりをより深めていくことができる、このように三方良しを目指した会です。
ですが、先ほども申しましたとおり、鍼灸関係者の方のみご参加いただくようしています。
今までも柔道整復師の方や他の手技療法の方からも学びたいという希望を沢山いただきましたが、すべてお断りしてきました。
ただ、そうした他業界の方も学びたいと思えるような、有益な情報を提供できているということは、私たちの自信でもあります。


▲(セミナー中の参加者の皆さん

Q.ありがとうございます。それでは最後に、馬場先生がぜひこちらをご覧の鍼灸師の皆さんに伝えたいことをお願いいたします。

A. 先ほどもお伝えしたように、「はりきゅうフェローシップ」は鍼灸師が自分の使っているある特定の治療技術のみにこだわるのではなく、治療家としての高い志を持った様々な先生方と交友することで自分の幅を広げ、これからの時代に活躍できる鍼灸師としての広い知見持つことを目的としています。
ですので、お話しいただく講師の人選においても、僕の信じている治療以外の様々な治療法や考え方、また、様々な成功事例に基づく経営手法をもっておられる方々にお願いしています。
こういった考えに基づいて、日々の臨床の場ではどうしても視野が狭くなりがちな鍼灸師を啓蒙するための草の根活動として、このイベントを開催しています。
また、運営に際してはボランティアのメンバーのみで、現在運営的に赤字ではありますが、採算度外視で行っています。
こうした活動の先に、今後の鍼灸業界の中で活躍できる鍼灸師が育ってくれればと、心から願っています。

馬場先生、ありがとうございました。

「はりきゅうフェローシップ」は、様々な経験を重ねた先輩方が熱い想いを持って運営されている、出会いと学びの場です。
今年も国家試験に通った新しい鍼灸師の皆さんが、社会に巣立ってしばらく経ちました。また、資格は取ったものの、技術や経営等仕事のことで悩んでいる人も少なくないでしょう。
新しい環境で慣れないながらも頑張っている人、うまくいかないことが多くて悩んでいる人、相談したいことがあるけど誰に聞いたらいいかわからないというような人がいたら、一度参加してみませんか?
同じような悩みを共有して励まし合える友人や、学ぶべき師匠との新しい出会いが、待っているかもしれないですよ。

はりきゅうフォローシップの開催情報はFacebookページにてご確認下さい。

https://www.facebook.com/harikyuufellowship/?pnref=story

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