堀口 三恵子先生による「美容鍼台湾講演」

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美容鍼のパイオニア堀口三恵子が台湾の中医学会において
初の講演を行った。これまで全国で講演を行ってきたが、海外での講演は今回が初めてだった。

台湾は鍼灸の生みの親、中国から受け継いだ中医大国である。
中医学は弁証を元に経絡の属性や経穴の特性で治療を行う学問である。
堀口の美容鍼は日本においても何という流派もなく、まさにコウ式というものを築き上げ、年々進化を続けている。
事前打ち合わせは台湾の医療器代理店メーカーGKT社の方と中医師の~先生が通訳としてお越し下さり台湾の先生方のニーズなど入念に話し合いを重ねた。
美容鍼においてどういうことに興味があるのか、そしてどこまでの理解が平均的であるのかを細かく打ち合わせし、~先生いわくシミへの関心はおそらくあるだろうという事から皮膚科学分野において原稿を書き換えるという作業も前日に行われた。

3月12日。
台湾は既に桜も散り、雨季に突入していたが講演日は快晴で迎えられることができた。
会場は60名超、机も椅子もなく、立ち見も出るくらいに予想以上のギャラリー。

今回のテーマはと申し上げたいところだったが、堀口の美容鍼講演はテーマ以上にボリュームがあり、出し惜しむことがなさすぎて今回書ききれるのかという心配もあるが大きくまとめてみたいと思う。

そもそも美容鍼は何を目的に掲げてやるべきか、それは「損容性疾患の改善」というのが大前提である。
たるみ、浮腫、歪み、しわ、尋常性ざ瘡等の患者様が日常生活を送る上で精神的苦痛を感じているものを言います。
そしてどの疾患に美容鍼が介入できるのかを判断し、適切なアドバイス、施術をしなければならない。
また患者様の現状の体力も踏まえ、顔面刺鍼だけでなく、全身のバランスを整え、動きを加えること、スキンケアや食事、生活習慣に関するアドバイスやカウンセリングが不可欠になる。
顔面への刺鍼の重たる効果はターンオーバーを促進させ、年齢ごとサイクルに合わせた施術を行わなければ結果はついてこない。

講演の冒頭では何故ターンオーバーが促進されるのかを顔面の静脈の構造と角質層の直下にあるカルシウムイオンの変化、特異的な電気抵抗を利用した鍼刺激を皮膚科学の理論で説明をした。
また表情筋を発生学上の理論から考えると腸管やその他それに影響を及ぼす筋膜・筋骨格へのアプローチが有効であるが故に顔面への刺激量をセイリンJ-15またはパイオネックスなどの切皮程度の最小限に留められると説明をした。
これまでのDVDや講演では聞けなかった内容、少し上級な内容が繰り広げられた。
当然メリットの裏には必ずデメリットがあり
内出血は日本人の女性は嫌うという現状であること、100%防げないのであれば徹底的にリスク管理をすること、または手法を変えることでリスク回避は可能であることをお伝えし、実技への運びとなった。

おそらく新鮮な講義内容であろう、実技ベッドを囲む距離感は日本では類を見ないほどの圧迫感であった。(民族性もありますが。)

実技は非常にスマートに運ばれ、評価の取り方、そして認識、最終評価 (左右の目の大きさ、下顎角の位置の評価)
コウ式の主軸となる頭蓋筋膜理論に基づく操体法は足関節、膝、股関節の肢位を評価し、顔面の骨格の歪み改善を瞬時に可能にさせる。すなわち顔面に触れる時間が軽減することで、施術後の不快感を最小限にすると共に呼吸や軟部組織への過緊張や脱力を促すことで持続度や強度を構築できるのである。
今回はそれに下肢の刺鍼を行うことで運動鍼の効果により短時間での効果を体験してもらった。
これらの実技は国内では未発表だが、台湾の先生がたは興味をしめして下さり、以下の質問を頂戴した。

  • しみや肝斑はどうやって施術しているのか
  • 目の大きさの差異の評価をもっと知りたい、より評価しやすくそれに対する対処方法で足三里、陽陵泉の場所をもっと丁寧に教えてほしい

非常に意義ある質問で、対照的ではあるが、これがコウ式の真髄。
しみや肝斑は刺激を入れてしまうとかえって濃くなってしまう。外傷性のしみ、ニキビを潰して残ってしまったものはメラニンが反転する振り子メラニンと呼ばれるものになってしまうことから刺激を加えるとあっという間に真っ黒になってしまう。カウンセリングの際に必ず患者様に対し症状の経緯をお伺いすることが大切であることをお伝えした。
経穴に意味はなく、どこの動きに、筋膜走行に対して操体法の動きを加えることで安全に動作を加与えることができるかが重要であり、選穴に意味を持つわけではないのである。

その他、コウ式ではパイオネックスを使った技術も多く
ほうれい線へのアプローチ、痩身を簡単にホームケアでも実践できる内容と
鍼を切皮、弾入しなくても効果が同じであること。

時間いっぱいになっても質問と実技再披露オーダーは続き、時間外で実技披露を再度行うという、というのもせっかく香港から来たので!もっと見せてくれ!という積極的な押しに完敗なところもあったのだ。
海外では授業や講演に対して絶えず質問が飛び交うという光景はよく目にするが、この規模でのたくさんの質問を受けていては終わりがないので、終演となった。

講演終了後の夜は韓国の美容鍼の大家の先生方と会食をさせて頂いた。

食事は文化がつきもので何度も何度も乾杯をするという新鮮な会の運びも、ホスピタリティ満載の接待も台湾の方ならではだった。
普段食べない淡水魚やなまこ!高級食材に感無量であった。
韓国の鍼灸、鍼灸師事情というのは知っていそうで意外と知らない日本の鍼灸師も多い。
韓医資格の取得はなんとも西洋医学の医学部、歯学部のレベルよりも高く新入生の人数もそれを上回るそうだ。
6年間の大学教育と4年間の研修医制度をとり、世界唯一の鍼灸専門医制度を持っている。
日本ではドクターしか行えない金糸埋鍼なども行える。
日本の鍼灸師資格との差は社会的、経済的にみてもかなりあるといえる。
例えば埋鍼や金糸埋鍼などでもそうだが、一回で数十万円という単価で診療を行っている。
行える施術、金額設定が格段に違う。もちろん漢方の処方も可能である。

我々日本の鍼灸師はあくまでもパラメディカルの一員であり、
薬の処方もできない。
そんな中で何ができるのか、リスク管理の徹底、医師などの最高機関にエビデンスの提唱等、何を守らなければならないのかは自ずと出てくるであろう。

今回の台湾では日本の鍼灸師という立場でいかに結果を残すかということ。
リスク回避をするための手法の選別(操体法や運動療法で鍼の本数を減らして結果を出す)をご紹介させて頂いた。
骨格からくる歪みのほとんどは顔に影響し、しみの原因や湿疹、ニキビなど皮膚の異常には必ず原因があり、なんでも鍼がいいというわけでもない。
中医、韓医と日本鍼灸と普遍的な共通原則は
鍼の良いところとデメリットをしっかりとお伝えし、最善な策を提供できるようになるには世界共通だと考えるのである。

中医、韓医の素晴らしいところは国民が習慣としてヘルスケアを中医、韓医的に考えて伝承しているとこにあると考える。
「今後の課題として鍼灸する習慣を!」とか漠然としたものではなく、考え方の伝承をし続けることへの課題、それ以前に日本の鍼灸師の信頼を獲得するという、クリアしなければならない課題があると今回の講演で感じた。

 

堀口 三恵子

一般社団法人日本美容矯正セラピスト協会理事長
コウ鍼灸治療院 院長
一般社団法人グローバルブライズビューティー協会 理事
学校法人呉竹学園 東京医療専門学校 教員養成科 美容鍼講師
学校法人呉竹学園 呉竹会 理事
呉竹メディカルクリニック 皮膚科 美容鍼灸 担当鍼灸師
(社)日本鍼灸師会会員

[著書]

DVD 堀口三恵子から学ぶ美容鍼7つのポイント(セイリン株式会社)
堀口三恵子の徹底美容鍼(医道の日本社)
たるみ・しわ・しみ症状別 美容鍼(医道の日本社)

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